飲める?飲めない?アルコール
世の中にはなんて素晴らしい飲み物があるのだろう。そうお酒。でも飲み過ぎると翌朝がつらい。でもまた飲む。シンキロウはこれまで幾度となく繰り返してきたけどこれからも懲りずに繰り返していくんだろうと思う。今回はそんなアルコールを化学する
飲むアルコールはエチルアルコールまたはエタノールといって化学ではアルコールの一種なのだ
ではアルコールってなに?
実はアルコールとは有機化合物の一種なのである。有機化合物というのは主に炭素 C、水素 H、酸素 O、窒素 N 原子から構成される化学物質。その中で -OH という部分を持つものをアルコールという
ここで水酸化ナトリウムの化学式NaOHを思い出した人がいるかもしれない。この物質は水に溶かすとナトリウムイオンNa+と水酸化物イオンOH-に電離する。OH-はアルカリ性だ
じゃあアルコールもアルカリ性を示すかというとそうではないんだな。アルコールはOH-を発生させない。というか電離しない。なのでアルカリ性は示さない
アルコールはとても便利な物質である。シンキロウも研究でよく使った。 -OH があればアルコールなのでその数は無限にある。でも日常で見かけるものは
の三つくらいだろう
メタノール
数あるアルコールのなかで最小のもの。別名メチルアルコール。化学式は CH3OH。分子の構造は左図のようになるが炭素 C と水素 H の結合を省略して一般には右図のように描く
よくメチル=目散るといって飲むと目が見えなくなると言われるけど、本当に失明する危険がある。劇物に指定されていて毒性が高い。
目が、目がぁ~!(つд⊂)
工業的には化学物質としてまた溶剤としてとても重要な物質。なのでシンキロウも毎日のように使っている。天然ガスの主成分メタンから合成されている。
和名は「木精」という。木材から抽出されたことによる。「精」はエキスという意味
エタノール
一般に言うアルコール。分子式はCH3CH2OH。
毒性が低く飲むことができるけど下戸の人は体質的に飲めない。おもな用途は飲用、殺菌、溶剤など。お酒の有効成分なので古くから世界各地で飲まれており宗教や文化に深く根付いている。このあたりについても興味深いのでいつか解説したい
また有機化合物を溶かすことができるので細菌などの細胞も破壊してしまえる [*]。なので殺菌剤にも利用される。ただし飲用以外の用途には飲むことができないようにメタノールやイソプロピルアルコールが意図的に混ぜられていることがあるので注意。
[*] 実際にはアルコール濃度によって殺菌の機構が違うようだ
飲むことができるエタノールには酒税が掛けられている。ビールが高いのもそのせい。許可なく作ると罰せられる。でもお酒は漬物や甘酒なんかと一緒で昔から各家庭で作られてきた。それなのに国が取り締まるのは不適切だとシンキロウは思う
おもな製法は廃糖蜜やデンプンの発酵、化学合成。発酵はお酒の製造法と同じ。酵母という微生物の働きで糖分を分解してエタノールをつくる
エタノールは水ととても混ざりやすいために普通に蒸留しても 96% までしか濃くできない。もっと濃くするためにはエタノールに水とベンゼンまたはペンタンを混ぜて蒸留する。これなら 99.5% まであげることができる。
和名は「酒精」。お酒のエキス。
イソプロピルアルコール
別名 2-プロパノール。IPA (アイピーエー、アイパ)。飲めないが毒性が低く消毒や溶剤に使われる。アメリカなんかでは随分以前から病院などで消毒用アルコールとして使われている。
この物質は炭素3個と水素8個と酸素1個でできているが、同じ組成で別のアルコールが存在する。このような同じ組成で形が違う分子を異性体といって化学ではとても重要である。
この他にもさらに炭素と水素が多いアルコールやベンゼン環が付いたアルコール、さらに-OHが2個以上のアルコールもある。これらについてはいつか話したいと思う