シンキロウの大人の化学

シンキロウによる化学雑記。普段化学に親しみのない方に身近にある化学から高尚な化学まで偏見を交えて伝えたい

元素の話② 化学の聖典「周期表」

周期表って見たことあるかな?元素を並べた表なんだけどじつは重要な意味を持っているんだf:id:shinquirau:20200321180900j:image

元素と周期表

古い話だけど「おれは直角」ってアニメのOPの歌詞に♪すいへーりーべーぼくのふねー♫というフレーズがあった。実はこれ、元素を暗記するための語呂合わせなんだ。地域ごとにパターンがあるんだけど、シンキロウが高校生だったときはすいへーりべーぼくのふね そーだまがーる しっぷすくらーくか すこっちばくろーまん てこにどあだった。わかりやすく書くと水兵 liebe 僕の船 操舵曲がるシップスクラークか スコッチ馬喰マン 梃子にドア。もちろん意味はない。これを元素記号にするとH He Li Be B C N O F Ne Na Mg Si P S Cl Ar K Ca Sc V Cr Mn Fe Co Ni Cu Zn。1番目の水素から横に向かって読んでいくんだ。ちなみに周期表の横の行を「周期」そして縦の列を「族」という。そして同じ族の元素は似た性質を示すんだ。


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周期表に最初に気づいたのはメンデレーエフ (1834-1907) というロシアの化学者なんだ。メンデレーエフは似た性質の元素を並べていくとある一定の規則があることを見つけた。当時はまだ未発見の元素がたくさんあったんだけど、周期表の埋まっていない所に新しい元素があるはずだと予言したんだ。実際に彼の予言にしたがって多くの元素が発見された。ちなみにメンデレーエフは一番美味しいウォッカのアルコール度数を見つけたと言われている。この話は嘘らしいんだけど、ロシアではメンデレーエフグレードのウォッカが売られているんだ。シンキロウもロシアで飲んだことがある。たしかアルコール度数は 54 度だったと思う。


余談になるけど、ロシアの人はウォッカがとても好きなんだ。ちゃんとした会食のときもワインのグラスの他に小さなウォッカグラスが用意されるくらい。でも最近の若い学者さんたちはあまり飲まないみたい。シンキロウの友人の化学者もあまり飲まない。彼は子供の頃ソビエト連邦の崩壊でお父さんが国営農場をクビになってお酒におぼれて大変だったからと言っていた


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話を戻そう。同じ族の元素は似た性質を示すことはさっき言った。以前の記事 (地球外生物を化学する 炭素とケイ素) で炭素とケイ素は似た性質を持つと言ったけど、この二つの元素は同じ 6 族なんだ。わかりやすいところを紹介するね


18 族 希ガス

He ヘリウム

Ne ネオン

Ar アルゴン

Kr クリプトン

Xe キセノン

Rn ラドン

Og オガネソン

 

この族の元素はどれも他の元素と反応しない。そして気体なんだ。誰ともつるまない高貴な気体ということで、英語ではノーブル・ガス (貴ガス) という。希ガスの中でヘリウムは水素の次に軽い元素なんだけど、水素と違って何とも化合物を作らないので軽すぎて宇宙に逃げていってしまう


17 族 ハロゲン

F フッ素

Cl  塩素

Br 臭素

I ヨウ素

At アスタチン

Ts テネシン

 

この族の元素は他の元素から一個電子をもらって一価の陰イオンになりやすい性質を持つ。例えばハロゲンのひとつ塩素はナトリウムと反応して塩化ナトリウムになる。塩化ナトリウムは水に溶かすとナトリウムイオン  Na+ と塩化物イオン Cl- になる。ちなみにハロゲンのハロは古代ギリシャ語で塩を意味するハラス ('άλας) から来ていて、ハロゲンは「塩の素」って意味なんだ


1 族 アルカリ金属

H 水素

Li リチウム

Na ナトリウム

K カリウム

Rb ルビジウム

Cs セシウム

Fr フランシウム

 

ハロゲンとは反対に他の元素に電子を一個あげて一価の陽イオンになりやすい。上で書いた塩化ナトリウムのようにね。この族は水素以外はみんな金属で水と激しく反応してアルカリ性の化合物になるんだ


メンデレーエフの頃と同じく周期表の上に新しい元素の存在が予測されている。それをもとに現在は現在も日夜新しい元素の探求が続けられている